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情動の書庫 -Emotional archive-

無料のオリジナル声劇台本置き場

作品の解説及び演出例

 ここでは台本のストーリー構成の解説や、演じる、または作品にするに当っての演出例を記載したいと思います。

 ですが、別にこれが正しいとかこういう風にやらなければならないとか、そういうことではありません。自由に解釈して自由に演じてもらうのが一番です。むしろ、先入観を持ちたくないというのであれば、見ないほうが良いかもしれません。

 しかし、台本を一読しただけで演じなければならない場合の多い声劇では、台本を自分なりに理解した上で自己演出をつけるのが難しいかと思われます。または、「ストーリーの全体を把握した上でシーンの意味と自身の役割に即した演技を考える」ということにピンとこない方も多いかと思います。

 これらを補助するために1例を書いてゆきたいと思いますが、あくまでも1例であり、「こんな考え方もあるんだ」程度に読んでいただければと思います。

引きこもらない娘とそれを憂う母

●冒頭

 まず最初に、これは喜劇です。闇のありそうな題材でありますが、重い印象を与えるものではありません。

 ただし、コントではありません。喜劇なので、「当人達は真剣であるのだけれども、あるいはそれ故に、傍から見ると滑稽である」といったものです。

 なので、最初の「お母さん」の長ゼリフはオーバーに表現することで内容の重さを軽減し、嘆き悲しんでいる母を尻目にさくっと「マミ」が出てきてしまう滑稽さを際立たせます。用意しているBGMとSEを使う場合、「マミ」は音にかぶるくらいにスパっと入ってきた方がテンポがいいです。

 これがストーリの「起こり」であり、これを明確に表現すれば「お母さんが娘に翻弄される」という構図がはっきりし、観てる側にも話がわかりやすくなります。

 余談ですが、冒頭で使用させていただいた曲「ルシファー」は、聴いた時にマリオネットが喜劇を演じている情景が浮かび、作品の狙いが伝わりやすいのではないかと思い起用しました。

●中盤

 冒頭からの流れのまま「お母さんが娘に翻弄される」という構図が出来ていれば良いと思います。起承転結で言うなら「承」ですね。流れを保ちながら、展開部で差をつけます。

 「展開部」、つまり作品の「盛り上がるシーン」ですが、正直これは台本的に上手く書けてないです。なので皆様の演技でフォローして下さい(ゴメンナサイ)。

 具体的にはNo52のお母さんの長セリフ「…そう、そうよ、そうだった。思い出したわ。」から、ストーリーが徐々に別の方向へと展開していきます。心情の変化部と言っても良いです。よって、ここから展開を意識してテンションを上げていきましょう。

●展開

 ストーリーが展開を見せるシーンなので、はっきりと意識を変えます。No62のお母さんのセリフ「なんとかならないわよ!!」からクライマックス突入です。なので、このセリフが当台本の最重要セリフです。聴いてる側を「ハッ」とさせることでクライマックスを意識させます。

 No73からBGMが入りますが、これはマミの自己陶酔を演出するものです。ここからのマミのセリフは、冒頭のお母さんと同じくオーバーでわざとらしいくらいが良いでしょう。何よりマミは、自己陶酔してるのですから。そしてこの演技のギャップが、全体を通してのメリハリになります。中盤と同じテンションだといつクライマックスに入ったのかわからず、全体を通して平坦な作品になります。こういうのは大げさなくらいにやった方が良いメリハリになります。二昔前くらいの少女マンガ的なノリでしょうか。

●終盤

 No87でBGMがフェードアウトしてからが、ストーリーが終結する終盤です。非常に短いですが。コントではなく喜劇である、と言っておきながら実にコント的なオチですねというのは置いておきます。

 マミの言葉にあんなに感動していたお母さんなのに、結局信じていなかったんですね。マミは不憫。悲しいけどこれ、喜劇なのよね。

 「引きこもりの娘が出てこなくて悩んでいたお母さんなのに、出てきた娘を無理やり部屋に戻してしまう」。一言で言えばこれが台本の全てであり、やりたかったことです。

 ここも、展開部との逆のギャップが重要です。あんなに感動的?なやり取りは何だったのかと思えるように、スパっと演技を切り替えて話を落としてしまえば終了です。

 結局、お母さんはマミと同じMMORPGをやっていたのか、娘と知りつつ同じギルドにいたのか、僕にもわかりません。

 以上となります。ここまで読んでくれた方、本当にありがとうございました。

 上記はあくまでも一例であり、拙作ですが皆様の解釈やアレンジで色々な形でやってみていただければ幸いです。

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